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所用時間約40分。
某エッセイコンテストに応募する原稿を、さっき一気に書き上げた。
私はエッセイを書くことが本当に大好きで、エッセイを書いている時間がほんとに楽しい。
今回の字数は1,200字。これくらいかな、とあたりをつけて書いてみたら1,300字。
気持ち多かったな、と思いつつ、全体のバランスを見て削ったり、足したり、改行したり。
結果、1190字くらいに着地することができた。うむうむ、ちょうどよい。
なぜだかわからないが、子供のころから、指定された字数に合わせて「せーの」で作文を書くのが得意だった私。求められたボリュームに合わせて、伝えたいことの濃淡をつけることが比較的できたのだと自己分析している。
はて、それはいったいどういうことなんだろうか?
自分の様子や感情を、どれくらいの「解像度」で言語化するか。ということだ。
自分を写すカメラが、どれくらいクローズアップして自分を描写するか?ともいえる。
例えば先述のコンクールに送ったエッセイでは、私が祖父母の家に行った時の思い出を書いている。祖父母はお魚屋さんだったのだが、それをどこまで「細かい絵コンテに分解して書くか」を意識しているのだ。
例)祖父母の家に行くと、大きな水槽が私を出迎えてくれる。その奥の通路を進んで、ようやく玄関に着く。祖母が笑顔で出迎えてくれる。
例)祖父母の家に行くと、大きな水槽が私を出迎えてくれる。瞼のない魚たちが、「よう、ひさしぶり」と言わんばかりに一斉にこちらを見ているような気がして、ドキッとするけどちょっとホッとする自分もいる。「ただいま」と心の中で呟きながら、奥の通路を進むと、玄関の引き戸を開けて今度は祖母がちゃんと聴こえる声で「ひさしぶり。いらっしゃい」と出迎えてくれるのだ。
実際は全くこんなことは書いていないのだが(笑)、祖父母の家の建物についてから、玄関に着くまでの30秒くらいの時間も、さらっと書くなら前者、より細かく書こうと思えば後者のように膨らませて書くことができるのだ。
読者が私と同じ視点に立って、同じ映像を見てくれるように、私が感じたことも、行動も、できる限り具体的に書き下すことで、イメージを共有したい、と願って書いている。
私たちが文章を書く場は様々で、LINEでのやりとりから業務チャット、SNSの投稿、ホームページの告知文、文書etc.あげればキリがない。子供であれば、読書感想文だったり、100マス作文だったり、数千字のレポートだったり。
それぞれに重要な「書くポイント」はあるのだが、「文章を長く書けない」「ネタがない」と思っている人はおそらく共通して、この「解像度」への意識を上げることで悩みが解決に近づくのでは、と私は思っている。
つまり、自分のしていることを、めちゃくちゃコマ切れにして、尾ひれをつけていくのだ。
「疲れて面倒だったけど、散歩をした。」という文章なら、「疲れでため息が止まらなかったけど、なんとかゆっくり靴下を履き、スニーカーに足を突っ込み、ゆっくり右足、次は左足、と交互に持ち上げて前に進んだ。」みたいに、一挙手一投足を描写していくと、「歩く」ことが「片足ずつ持ち上げて前に進む」と書き換えられる。
さらに、こう書くことで、”面倒で一歩進むのもしんどい”というニュアンスまでプラスすることができて、よりその時の筆者の感情が想像しやすくなるというお得な効果までついてくるのだ。これが、先ほど書いた「読者が具体的にイメージしやすくなる文章」になるのである。
このことを、もっときちんと「自分の気持ちを素直に文章に表すコツ」として整理して教えてくれているのが、古賀史健さんの「さみしい夜にはペンを持て」だ。これは、主人公タコジローの自己表現にまつわる成長物語の側面を持ちつつ、自分の本音をどう文章に書くか、なぜ書き続けることが大切なのか、を教えてくれているエッセイでもある。
この本の中で、未来の自分が読みたくなるような日記を書くコツとして、私がこれまでやってきたことと似たことをイラストつきでわかりやすく教えてくれている。「なるほど!私はこういうことをやっていたんだ!」という答え合わせができた気にもなれたし、「書くことについて、そういう風に考えたことはなかったな・・・」という新しい観点も学べた。なにより、タコジローがかわいい。めちゃくちゃ応援したくなる。不覚にも最後は涙が出てきてしまった。
「さみしさ」を感じたことのある、その想いのやり場に悩んだことのある、すべての人におすすめしたい本。
私のライティング講座でも、この本で知れたことをうまく織り交ぜていこうと思っている。
古賀さんのような、わかりやすくてユーモアのある文章を書けるように、
「日々の些細な出来事も、画素数高く、温度感を持って表現する」スキルをもっと上げるために、
私自身も心の解像度を上げられるよう、日常の1シーン1シーンを丁寧に見つめていたい。
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