「あのころの自分」に、講座を作る。

講師業をしている中で、一度は耳にする言葉。

「誰に向けての講座なのか、ターゲット(=対象となる人物像)を定めましょう!」

これは実際すごく大切なこと。私も、何度も教わってきた。

同じ講座でも、初心者向けか、ベテラン向けか、お子さん向けか、おじさま向けかで、全てが変わってしまう。

レッスン内容、開催場所、告知方法、レッスンで選ぶ言葉など。

「見せ方」の引き出しをどう開くかで、レッスンのバリエーションは何通りも作れる。

だからこそ、誰に向けて何を伝えたいのか?具体的なイメージを持つことが大切なのだ。

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だが、それが大前提としても、私はターゲット決めが難航してしまうことが多かった。ターゲット像を決めたつもりでも、実際はターゲットと全くタイプの生徒さんがレッスンに来られるからだ。

私のターゲット設定や集客方法が悪かったのかもしれない。が同時に、あまり排他的な告知をしたくなかったのも本心だし、結果的にどんな方が来られても、平等にレッスンしたいという気持ちも常にあった。赤ちゃんママでも大学生ママでも、独身の方でも、仕事をしていてもしていなくても、それぞれがそれぞれの暮らしやお悩みの中で、私のレッスンに興味を抱いてくれたのだ。こちら側の想定するターゲットがどうあれ、ひとりひとりに誠心誠意レッスンしたい。言ってしまえばそれだけなのである。

そのため、「ターゲット」の定め方で悩んでいる方に対して、私ならどんな風に、きれいごとでないアドバイスができるだろうか?・・・そう考えた時に導き出せた答え。それは、

「あのころの自分」に対して、かけたい言葉はなんだろう?

「あのころの自分」にどんな講座があれば、もっと救われた(幸せになれていた)だろう?これに尽きる。

あなたが講師として一歩を踏み出したのは、どんなきっかけからだろうか。おそらく、当時何かに悩んでいたり、社会に対して疑問があったりしたことが、何かのきっかけで和らいだり、解決したり、心や身体に変化があったり。どこかしら「気持ちが動く」ことがあって、講師の道へ進んだ人も多いのではないだろうか。

もちろんポジティブな理由で、ある日出会ってやってみたことが楽しくて楽しくて、それを極め、人に伝えるために講師になったというタイプの方もいると思う。それもれっきとしたきっかけだ。そして講師になった結果、新しく見えた世界や新たに感じることはあるはずである。

「過去の自分」が、あの時こんな先生に出会えていたら!こんな講座に出られていたらよかっただろうに!

あなたが伝えたいことは、意外とあなた自身が原点だったりするのではないか。

実際私は、とにかく孤独なワーママだった。時間もなく毎日悲壮なほど必死で、今思えば息子に申し訳なかったと思うことばかり。でもそれを変えたくて、料理教室のドアをたたき、本当に目の前の世界が一変してしまった。あの頃、どうして孤独を感じていたのか?どうして食事作りで悩んでいたのか?あのときどんなレシピがあれば、私の育児は楽だったんだろう?どんな人がいてくれれば、私は救われたんだろう。

それこそが、未来の生徒さんに私が届けたいもので、私の講師としてのアイデンティティでもある。

ターゲット像を描けなくて困っている方にはぜひ、自分自身と対話してみてほしい。

例えばノートに、講師になる前の自分と、講師になってから(学び始めてから)の自分の気持ちや行動をBefore→After形式で書き出してみるのもあり。

他でもない講師自身が、講座を通じて変われた人だという最たる証明になるのだから。

生徒さんが、「私もこうなりたい」って、あなたの中に自分自身を見出すきっかけになれば、自然と会いたい生徒さんに会うことができるはずなのだ。

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