自分の書く文章が、いつもありきたりになってしまいます・・・
自分の気持ちをどう言葉にすればいいかわからない・・・
誰しもが一度は出会う、アウトプットの壁。
この心を身体の外に出そうとするときに、「しっくりくる」言葉が見つからない。
演説でも、講座でも、お説教でも、喧嘩でも、自分の趣味を語るときでも、ブログでも、日記でも。
想いと言葉が「ゼロ距離」な人は、そうそういない。
私自身、
あああ~そういうつもりで言った(書いた)つもりじゃなかったのに~!!!
って、意図が伝わらずに焦ったり後悔したり落ち込むことは、山ほどある。
でも、そんな私は、言葉に関して大好きでこだわっていることが、ひとつ。
それはずばり、「語義」にどこまでも忠実に、普段からていねいに言葉を観察すること。
・・・語義に忠実に???どういう意味??
「外国語をどう日本語に訳すか」で考えてみよう。
例えば、「Dynamic(ダイナミック)」という単語を見聞きして、あなたはどんなイメージを抱くだろうか。
”ダイナミックなシュート!”とか、”ダイナミックな動きで・・・”という文脈で用いられることが多いから、
「大きくて激しい、派手な動き、躍動感のある動き」をダイナミックと思っている人がかなり多いと思う。
だがこの単語がもともと持つ意味は、「動的な」。ただそれだけ。
つまり、実はほんの1ミリでも、めちゃくちゃ地味でも、「動いてさえすれば」それは「ダイナミック」なのである。
・・・ということがわかると、「ダイナミック」という言葉をどこでどう使うか、変わってこないだろうか?
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日本語でいえば、「類義語」をなるべくたくさん知っておくことも大切だ。
例えば「楽しい」という気持ち1つも、状況によっていろんな表現がある。何通り思い浮かぶだろう?
電車内のポスターのキャッチコピーでも、小説の主人公の台詞でも、ラジオのパーソナリティのおしゃべりでもいい。
この言葉って、どういう意味合いで使ってるんだろう。違う言葉で置き換えるとニュアンスが変わってしまうのかな?
こんな風に、日頃から、身近にある一語一語を、ていねいに観察すると、
言葉の「温度感」を、自然と肌で感じ取ることができる。
実際、私は特別大の読書家でも、プロの作家でも全然ないのだけど、
これまで書いてきたSNSの文章や、私の講座に直接触れた方から
言葉と心の距離を近くに感じられるような感想をいただくことがある。
「緑さんの語彙力がすごい!どこでそんなに身に着けたんですか?」
「あなたの文章を読むと、まるで自分のことのように感じられて泣きそうになる」
「書くことが好きなんだなぁって、読んでいるだけで伝わります」
これは、私の講座のテーマでもある「想いの輪郭が浮かび上がる」文章作りにも通じる。
難しい語彙を増やそうとするよりも、
すでに知っている言葉の精確な意味や使い方に、興味を持つ。
それが結果的に、自分の表現力を豊かにするのだ。
うまく伝えられなくて「もどかしい」気持ちを放置しないこと!
目にする言葉をつぶさに観察し、
心のメモに書き留めていけば、
書くことは、もっと楽しくて豊かなものになっていく。